攻撃の術
娘が息子に対して明確な反撃をするようになった。
涙を流しながら怒り、大きく奇声をあげる。
そして息子がビビって泣く。
1,3歳ってこんなになるのか。面倒くせえ。
喧嘩しても憎しみ合うことだけはするなよ。
2人で私と夫の葬式をやってくれ。
私と弟の初めての喧嘩は忘れてしまったが、弟も小さい頃は奇声をあげて反撃していた。
顔を真っ赤にして怒るし、坊主頭だったことから「タコ」と呼ばれていた。
対する私も大声で反撃、していたのか?覚えていない。
もう少し大きくなると手を上げるように。
しかし4学年差、100%の力でも姉に勝てるはずもなく。
且つ超絶負けず嫌いの私も全力で攻撃するので、だいたい弟が泣いていた。
もちろん親に怒られるのは姉である私。
「お姉ちゃんでしょ!手加減しなさい!」
あー出た出た、この言葉、すごく嫌だった。
好きで姉になったんじゃないのに、と言われるたびに弟を疎ましく思っていた。
今ならわかる、この言葉めっちゃ便利。
いつも泣かされていた弟、なんとか姉を泣かせられないかと思ったのか。
次なる一手は「髪の毛を引っ張る」。
こうかは ばつぐん だった。
痛いし、頭が自ずと下がってしまうので、視界が一気に狭まる。
弟の指の間にはよく私の髪の毛が付着していた。
その後、弟が小学校に上がると、ただただひたすら肉弾戦になった。
2人でスーファミしていても、なんらかの拍子にリアルファイトにシフトしたり。
姉妹しかいない従妹には「殴り合いが激しすぎる」とドン引きされ続けていた。
さらに大きくなると、口撃も加わる。
特に忘れられないのが私中3、弟小5のとき。
2人とも年齢が2桁になっていた。
人生初の試練、受験でピリピリしていた私。
周りからは大丈夫、とは言われていたものの、そんなの当日1回勝負なんだから分かんねーよ!と悶々としていた。
そんな中、牛乳の量というくだらない事で喧嘩をし、弟が放った一言。
『浪人!!』
これに動揺して、めちゃくちゃキレた。
祖母が私と弟を引き離したくらい。
(祖母は「受験のプレッシャー相当辛そうだよ」と母に報告したくらい)
攻撃に口撃は私が高校入学と同時に実家を出るまで続いた。
その後は会えば口撃をして、そのうち弟は怒りを鎮めるために別室に行くなどしてコントロールしていたと思う。
相変わらず喧嘩してたけれど。
別室に行く前、『腹立つ、面白くない』などと捨て台詞を残して。
でも、私の口撃は緩まなかったけれど、弟のサンドバッグとしての成長は立派だったと、今更ながら思う。
あーぁ、また喧嘩したいなぁ。
でも息子に娘よ、君たちは面倒だから喧嘩すんな。