すずうくぬつ

自分のための、弟のしじゅうくにちです。その日に思い出した弟との思い出を忘れないように、必死こいて文字化しています。

弟の部屋

弟へのお誕生日記事から2ヶ月ちょい。

本日に至るまでに、

弟の遺骨がダイヤモンドネックレスになって手元に届いたり、

娘がRSウイルスで入院したり、

娘が退院したらお約束の息子が感染したり、

大雨で仕事が怒涛の忙しさとなり(継続中)、

何というか、良くも悪くも怒涛の“日常“がとても過ごせていた私。

 

その象徴としてか、娘から「はやく」と呼ばれるようになった。

「かあさん」と呼んでいたのに、「はやく」。

私が日々「早くご飯食べて!」「早く着替えて!」「早く自転車乗って!」「早くお風呂入るよ!」「早く寝よ!」のオンパレードか、思い知らされた。

そんな娘を見て、両親は大爆笑。

そう、私は今実家。

 

こんな世の中だけど、今年のお盆は私にとって「不要不急」なんてもんじゃない。

行かなきゃ後悔する、そのくらい大切なので、職場にも説明の上、夏休み5日間を全てこの期間に使うことにした。

未だに激務だけれども。。

 

空港から実家までの道、見慣れた景色なのに、「あー、居ないんだ」。

実家に着いて、弟のメモリアルコーナーが出来ていて「あー、居ないんだ」。

夕食前になると、彼の車が向かってくるエンジン音を母が聞き分けて、自宅車庫に入ってくる時にグレーチングが「カシャン」と音がするはずなのに、何も無くて誰も来なくて「あー、居ないんだ」。

仏壇に戒名があって「あー、居ないんだ」。

 

娘が歩いてる姿知らないんだよなぁ

娘がこんなに喋るの、知らないんだよなぁ

娘が弟のスライムコレクションに喜んで遊んでいるの、知らないんだよなぁ

息子が時折オムツじゃなくてパンツ履いて頑張ってるの、知らないんだよなぁ

姉貴が「はやく」と不名誉な呼ばれ方してるの、聞いてないんだよなぁ

いつものように弟の服を勝手にパジャマにしても誰も怒らないんだよなぁ

今日はちょっとお高めadidasを借りてるんだぞ、軽くて良いねコレ。

 

adidasにはちょっとした思い出。

7年くらい前のお盆、お寺さんが「9時頃来る」と言うので、8時頃にまったり「顔洗うのいつにしよっかなー」なんて言っていたら、

8:15頃に車が自宅前に停まった。

お坊さんって、サマータイム適用するのだろうか…と考えていたら着替えが間に合わず。

弟はadidas、私はユニクロ、両親も適当な部屋着、唯一夫だけが着替えている中での、読経。

一通り終わったのちに母が「(私の夫以外)ほぼ全員いい加減な服装だったじゃん」と後悔の念を口にしたところ、弟は反論した。

adidasはフォーマルだから、俺はセーフ』

スポーツの世界ではね。

 

さらに数年後のお盆では、読経中に私と弟仲良く足の痺れを早々に感じてしまったことがある。

お互い一言も発してないのに、どういうわけか勝負になった(そのとき2人共20代)。

ルールは簡単。足の裏をツンツンし合って、先に崩した方が負け。

何も言葉は交わさなくとも伝わったのは、流石弟。

勝負の行方は忘れてしまったが、読経の時間は楽しく過ごせた。

その後、仲良く母に怒られた。

 

それにしてもお盆って、ご先祖さまの魂を〜というけれど、弟が、ご先祖さまになる?

母は「明日は仏様のご飯3つ用意しなきゃなぁ、忘れそう」と言っていた。

息子のために仏飯を用意する、読経を聞く、お花を供える…日常でも何かしらお供えしている両親は、どんな気持ちなんだろう。

弟の遺品を整理して、家の中も季節に合わせて額縁の中身とか掛け軸の柄を整えていて、どうしてここまで、息子の死を日常に上手く順応させられているように、見えるのだろう。

 

私は未だに、弟の貴重品が発見されていないことがモヤモヤだし、

毎晩寝る前に「29歳不明男性、遺体で発見」というニュースの見出しを思い出す。

遺骨ダイヤモンドが手元に来たら気持ちが変わるかと思っても、変わらない。

 

今回の初盆で何か気持ちに変化が…と思いたくて、一晩弟の部屋にいてみたけれど、

二人暮らししていた時に突然買ってきた電子ピアノとか(ドラクエ弾きたくなったらしい)

二人暮らししていた時に私がプレゼントしたスライム型スピーカーとか(すごい喜んでくれて、別売電池をダッシュでコンビニに買いに行ってたな)

二人暮らししていた時に一緒に行ったライブで買ったお揃いのマウスパッドとか

何度か借りたパソコン関係の本とか

2020年8月のまま、進んでないカレンダーとか

 

涙しか出てこないよねー。

弟から借りてるadidasに涙溢しちゃうよねー。

寂しいなぁ、

日常を過ごせていた私、結局彼の死を受け入れられてなかったみたいで、お供物は出発前に探したのに、

「何かを供えたい」という気持ちよりも

「なんで、弟、私より4歳若い人の、お供え探してるの?」という疑問の方が

比べ物にならないくらい圧倒的に大きくて、何も買えなかった。

さすがに数珠は、持って行くか躊躇したけれど「礼儀としてこれは守らねば」と鞄に最後に突っ込めた。頑張った。

 

今年の読経は、誰と足の裏ツンツンゲームしたら良いの?

わたし寂しいよ。

あぁでも、2歳目前の娘がきっと歩き回る。

下手したら読経の真似とかしそう。

そうだ、この子の制御に務めるのが私の役割だ。

そういうことにして、乗り越えよう。

それから先の夏は、そのときに考えよう。

今夜はハンバーグを食べ過ぎたので、アンタのストレッチポール借りるね。

それが終わったら、アンタが日々頑張っていたレッグレイズにリバースクランチをやらせていただこう。