すずうくぬつ

自分のための、弟のしじゅうくにちです。その日に思い出した弟との思い出を忘れないように、必死こいて文字化しています。

お誕生日おめでとう

 

昨年の誕生日にあげた缶ビールが冷えないホルダーの使い心地はどうかね。

ちょうどコロナ疎開していたから、直接お祝いできたんだった。何年ぶりだったのかな。

さつま揚げ美味しかったね〜

 

『30代がすぐそこにあるの、複雑』

『何にも変わってないけれど、10の位が3になるのって、抵抗ある』

そんなことを言っていたね。

 

アンタがいなくなったとき、わたしには色んな感情が湧いてきたの。

母として、君が愛してくれた子供たちの笑顔を守らなきゃ

娘として、君を愛しまくっている両親を支えなきゃ

姉として、わたしを『姉貴』と呼ぶ人はもういないの?わたしはもう姉じゃないの?

 

のちにグリーフケアの説明会とか本を読んだりして、私の心に起こったのは「アイデンティティ・クライシス」と名付けられることが分かったのよ。

弟がいなくなってしまったことによる、

姉としてのアイデンティティが揺らいで不安定になる、ということ。

 

私はな、オメーのことは、しょうもねえ奴だと思っていたんだよ。

変に潔癖なところもあるのに洗面台はびしょびしょ、目見えてんのかよ!

さっき掃除するって言ったのにゴミの上歩くなよ、耳聞こえてんの!

親にバレないよう買い物するならコンビニ受取りにしとけよ!

また息子あてにトミカ買ったのかよ!自分の結婚資金貯めとけよ!

職場でお菓子配られたら断らないで、受け取って実家に置いとけよ職場での心証良くしとけ!

揚げ物の衣を取るのは職場の飲み会でやるなよ!

大皿から料理取るとき占有するなよ!

箸を口に運んでから食べ物から目を離せ(こぼすな)!

 

姉からこんな言われてたんだ、両親もそれはもう小言の数々だったでしょ?

だから「オメーはしょうもねぇ」だったのに。

なのに君が居なくなって、寂しさのほかに不安で不安で「アイデンティティークライシス」に陥ったよ。

 

この不安は、将来への不安だった。

私の未来には当たり前に君の姿があって、

叔父として子供たちの成長を楽しんでもらい、

子供として両親の葬儀を行い、

シワシワキョウダイで「親のところに行くのはどっちが先かね〜」なんて話す。

そんな未来。

ちょっと生々しい話をすると、私は実家を遠く離れて仕事も家も確立させたのに、両親への心配はそこまで無かった。

それは、君が実家の近く(車で1時間くらいかかるけれど)に居てくれたから。

私が離れても安心して生活できているのは、君の存在があったからだ。

それに、普段は何も気付かなかった。

 

それだけじゃない、

英語で困ったことがあったらすぐ質問できる、

夫がドン引きするような下ネタを時間問わずLINEできる、

息子のお辞儀が、膝を軽く曲げて膝に手をついて、仁義を切るようなもので、「めっちゃ桐生ちゃん」と笑い合える、

なんJスレの共有ができる。

私が投げたコトに対して、確実に打ち返してくる相棒です、君は。

 

あとね、君が居なくなってから、チラホラとFacebook経由でメッセージを貰うの。

哀悼のメッセージを、英語でね。

世界にこんなに友達がいたことは知っていたけれど、実感できて驚いている。

世界のみんなが共通して教えてくれたのは、

『話の引き出しが多くてジョークが通じて面白い、甥っ子姪っ子が大好きで叔父であることを誇りに思っている』

 

あぁもう、わたしにとって、最高の弟で相棒で誇りだ、君は。

私のもう一つの人生だ。

 

早く会いに行きたいけれど、目標の「弟の3倍」まで半世紀以上あるので、コツコツと君がずっと笑えるような話を貯めておく。

そちらの世界は時間の流れが早いとお寺さんから聞いたけれどエビデンスなんてないから、まぁ、気長に待ちなよ。

 

 

昨年、「あんたは何でそんなに引き出しが多いの」と聞いた。

『なんでだろう、色々な人と話してたり本を読んだりしてたら、返せてる。』

「返せないジャンルある?」

『んー、自分が興味ないものはやっぱり頭に入らないからな』

なんだろうな〜BLは返せないかな。