数日遅れのプレゼント
それともフライングお年玉?
この年齢になって、何か貰えるなんて思わなかった。
クリスマスより、自分で好きに使えるお年玉の方が好きだったな。
そんな可愛くない子供時代のことを思い出しながら、頭から消えないように文章化しなくては。
夢で弟に会えた。
私の自宅の、2F廊下にいた。
動いて喋っている弟は、行方不明になる直前にしたテレビ電話以来だ。
夢の中で弟は、お風呂から出てきた息子を追いかけていた。
我が家は2Fにお風呂があるので、湯上がりフルチンで肩からタオルをかけた息子を追いかける弟、という状況。
弟の服装は青Tシャツに黒デニム、よく見る組合せ。
その時の私は、湯上がりの息子を出迎えようと思って寝室から廊下に出たところで。
廊下に出たら、弟が居て、ものすごく驚いた。
私の胸元にあるネックレスに埋め込まれているお骨は、誰の遺骨なの?
牛かなんか動物?
あれ?じゃあダイヤモンド加工するときに対面したヒトのお骨は?
というかアンタ(弟)、結局どこにいたの?
あの夜、友達とご飯食べたあとに何があったの?
私らがどんな思いで今まで過ごして
…いや、今こうして目の前にいるんだから、良いや。もういいわ。
弟はデレデレの笑顔で
『ふみふみ〜、風邪ひくよ〜』
と息子を追いかけ、息子は嬉しそうに走っている。
何故か奥に母が居たので、私は母に「ねぇ、どうして?」と聞いた。
母は「いいの、いいの!」と嬉しそうだったので、私も再び「いっか!」と喜んだ。
私は息子とすれ違って、息子を追いかけていた弟ともすぐにすれ違った。
「ちょっと!」
いっか、と一度は思いつつも、やはり気になるようで、弟を呼び止めた。
ただ、その先の言葉がまるで出てこない。
聞きたいこと言いたいことが山のようにあったはずなのに、あるのに、出てこない。
息子が最近バーバパパに夢中で大変なこと、娘の言葉が日進月歩なこと、子供たちの伝えたい「いま」も何処から話せば良いのか。
また弟のデレデレ笑顔が見えて、「やっぱりいいや、あとで」と思う。
夢は、そこまで。
起きてからしばらく呆然として、続きが見られないものかと目を閉じたけれど。
30年以上生きてきて、成功した試しは無い。
やはり私のネックレスには細かくなったお骨が埋め込まれていて、それは紛れもなく弟らしい。
お骨の大半がスイスでダイヤモンド加工されているし、残りは両親と私でアクセサリーにしたし。
夏の嫌な記憶あるし手元に証拠もあるのに。
まだ納得しきれていないみたいだ。
あのとき、何も誰のことも憚ることなく、声を上げて泣き叫べたら。
誰かと一緒に悲しめていたら。
多少は納得度合いが高まったのか。
会いたくて震える、とはこんな思いなのか。
西野カナってやばいな、私は生きている人に、ここまで強く思ったことはない。
子供がいない頃なんて、夫が用事で休日フリーになると心の中で万歳していたくらいだ。
(今は子供の世話のため、私用なんて許さない)
父も私に涙目で言ってたな、
「夢で良いから、出てきて欲しい。
でも、出てこない」
お父さん、出てきた時はめちゃくちゃ嬉しかったけれど、一瞬だったから、目覚めた時の寂しさも半端ないぞ。これはこれで、辛いよ。
人の夢と書いて儚いとは、漢字は本当よく出来ていて、実に憎たらしい。