すずうくぬつ

自分のための、弟のしじゅうくにちです。その日に思い出した弟との思い出を忘れないように、必死こいて文字化しています。

9年

お題「大人になったなと感じるとき」。

 

2021年が始まって半月経過。

仕事始めの日、娘の園は通常保育、息子の園は希望保育。

息子の園も通常保育と勘違いした私、お弁当を忘れ、園近くのコンビニでかにぱんとお惣菜を買って持たせた。

息子はかにぱんを喜んだけれど、帰り道に「お弁当箱にかにぱん入れて欲しかった」と言われ、胸が痛んだ。

それから日々4〜5時間睡眠でヘトヘト。

弟のことは常に頭にあるけれど、じっくり思い出を掘り下げられなくて寂しい。

 

新しい年だから色々楽しいことも考えている。

しかし命が当たり前と思っているからこそ、考えられるものだと思い、明日が来ると思っていたのに迎えることが出来なかった弟のことを思い、悔しくてたまらない気持ちになる。

 

そんな中、成人式のニュースを目にして思い出した。

弟が成人式を迎えたとき、目玉企画として「タイムカプセル」があった。

確か10歳の頃、「20歳になった自分へお手紙を書こう」と授業であったらしい。

成人式のタイミングで掘り起こして「10年前の自分が書いた手紙を読もう」という。

ありきたりと言えばそうだけれど、とっても面白そうだった。

私の学年は無かったから、羨ましかった。

 

弟の成人式の日、私も実家へいたので、話を聞くことができた。

式典そのものはさておいて、タイムカプセルの話に。

『俺さぁ…』

笑いながらも呆れたような顔で口を開いた。

『1行目にさ

 

 20年後の自分へ

 

 って書いてあって、呆れたわ。』

書いた当時は10歳だから、10年後なのに。

“20歳の自分へ”と混ざったのだろう。

 

「10歳の頃からアホさは変わってねーな。」

『いや、でも良いことも書いてあるぞ。

 ちゃんと働け、とか

 親の言うことは聞け、とか。』

「今より賢くない?」

『かもしれない』

 

手紙そのものは読まなかった。

ちょっと興味はあるけれど、なんとなく読むのはナンセンスな気がしたからだ。

それから10年も経たずに、永遠の別れなんてさ、思うかよ。

 

それから6年くらい経ったときだったか。

前の会社を逃げるようにして辞めた私は、とにかく劣等感の塊だった。

本社の所在地は徹底的に避け、通勤に使っていた地下鉄には乗れなくなるくらい。

どういうきっかけか忘れたけれど、弟と飲んだ時に、前会社の話になった。

私が退職したあと、弟は前会社の他部署でアルバイトをしていた。

しかも、前会社のテニス部などにも顔を出していたらしく、共通の知人が多い。

弟のアルバイトの話を聞くと、お世話になった人の名前がチラホラ出てきた。

『えー、姉貴、あの人とも部署違うのに絡みあったの?』

「そうだねー、カラオケくらいだけど」

弟がスマホから飲み会の写真を探して、1人ずつ指差しながら

『じゃあ、この人は?』

「この人は飲んだだけかな〜」

などと色々と聞いてきた。

振り返ると、飲んで食べてばかりの、働いてる時間0のエピソードばっかり。

「私、何してたんだろね…会社で…」

『いいじゃん、楽しい話ばっかで。姉貴、嫌な思い出ばかりじゃなくて楽しかったんじゃん。』

『ネガティブなこと言ってるけど、前の会社でも好きな人もたくさん出来てるじゃん』

 

もー、私びっくり。

確かにそうだ、と気付けたことと、

それを「不肖の弟が気付かせてくれた」ことに。

色々詰めが甘くて呆れてばっかりだったけれど、

このときばかりは「あぁ、もう大人なんだな」と実感した。

その日以降、変わらず「不肖の弟」扱いしていたけれどな。

 

生きていたら今もしているだろう。

あーぁ、寂しいなぁ。

 

こんな心の隙間を埋めるために、私は今夜もミシンを動かす。

私が手芸に夢中になってるなんて聞いたら、

子供たちの服を作っていると聞いたら、

弟はどんな顔で驚くかなぁ。

 

会いたいなぁ。さみし。。