弟の絵心
先日、家族で科学館へ行ってきた。
息子が園で描いた絵が展示されているとのことで、見に行きがてら。
開館と同時に入館し、色々科学に触れながら(ただ遊んだだけ)、絵画展へ。
息子がいる2歳児クラスは15人程度、その人数の中から展示作品に選ばれたということで、私と夫はワクワク。
絵はとてもカラフルで、丸やら曲線やら直線やらで表現されていた。
1歳の時に「全然お絵かきしない、クレヨンを持たせても薄ーく線を引くだけ。おうちでもお絵かきをもっとやらせてください」と保育士さんに言われたのに。
わからんもんだな。
対する弟は、それはもう、見事な絵心だった。
近所に住んでいる弟の同級生(女子)が未就学児のころ、
「絵が下手だから好きじゃない」
とハッキリ言っていたのをハッキリ覚えている。
弟が小学校低学年のころ、小学校の発表会で図工作品の展示もあった。
何が展示されていたのかは忘れてしまったが、弟の作品(絵)は大変芸術的だったらしい。
母も、芸術的すぎて、まったくわからず。
帰ってから、弟を褒めつつ「あれ、何の絵なのかな~?」とそこはかとなく問うた。
弟の答えは、
『あれ、逆さまなんだ…』
弟が意図した絵を先生は汲み取れず、先生のモノサシで判断した結果、どうも上下逆に展示されてしまったらしい。
小学校低学年なりに、先生に気を遣ったのか、逆さまであることを言い出せず。
そのまま、本番を迎えてしまったようだ。
結局あの絵は何だったのか。そもそもどんな絵だったのか、私の記憶には全くない。
そんな昔話を思い出しながら、「息子の絵も果たしてこの向きなのだろうか」と疑問を抱きつつ、先に行く息子を慌てて追いかけて、科学館を満喫した。
骨格標本を見て、色々思い出して苦しくなってしまったり。
売店にある鉱物を見て「そういえば机に紫の飾っていたな」と思い出したり。
机にきれいな蝶の標本を飾っていたことを思い出したり。
両親と弟と4人で地元の科学館に出かけて、あまりにも人がいなくてプラネタリウムも貸切で見ることができたことを思い出したり。
次から次へと溢れて来てしまった。
家に帰ってから、ふと、弟が息子と一緒にお絵かきしていたことを思い出し、 自由帳を1枚ずつ確認した。
2回くらい確認したけれど、お絵かきしていたのはカレンダーの裏紙だったから、自由帳には何も残ってはいなかった。
見たかったな、あのブサイクなアンパンマン。
これから先も、夫と息子と娘で思い出を作るたびに、重ねてしまうのだろう。
今は泣きそうになるけれど、もう少ししたら「思い出せた!」と喜びになるかなぁ。
頼むぞ、ときぐすり。