ブラジャー
洗濯物を畳んでいたら、その山から娘がブラジャーを引っ張り出してきた。
肩紐引っ張って不思議そうに引き摺り回していた。
私の胸、胸板に木の実が2つ落ちてるようにしか見えないけれど、ブラジャーは必要です。
君と君の兄2人が散々絞り取って、無様な形になっているけれど、ずっと必要です。
弟は私という姉がいたからか、ブラジャーは日常の背景みたいに思っていた気がする。
あくまで、母と姉のものについては。
私がブラジャーと無縁だった頃、ふざけて母のブラジャーを弟に着けさせて私は笑い、母にも見せに行って笑わせた。
『おじいちゃんおばあちゃんにも見せたら笑うかなー』
と言って2人でニコニコと祖父母の前に行ったら、猛スピードで母が走ってきて弟を連れ去り、数分後2人でめちゃくちゃ怒られた。
私は弟が勝手に祖父母のところへ行ったことにしようかと思ったが、母はすでに共犯であると分かっていた。
黙って怒られておいた。
私がブラジャーと縁ができ始めた頃、母と弟と3人で洗濯物を畳んでいたときにふざけて私のブラジャーを取り出し、胸に当てながら笑顔でこう言った。
『見て〜小さ〜い』
思春期の恥ずかしさと、友人にからかわれていた貧乳を弟にまで言われた屈辱で、私はキレた。
乱暴に取り上げて「やめろよ!」と。
弟は数年前みたいに笑ってくれると思ったんだろう。
残念、人間変わるんだよ。
2人暮らしを始めてからはふざけることなく。
私のブラジャーを干し、畳んで仕分けるまできちんとやってくれた。
姉が貧乳を気にして、磯山さやかプロデュースのナイトブラを宅配生協で購入したのも知っている。
というか彼が受け取って私のベッドの上に置いてくれていた。
そして昨年、息子と共に里帰り出産のため実家の厄介になっていたときは、息子と一緒に私のブラのカップをお皿に見立てて、朝収穫したナスやピーマンを乗せて遊んでいた。
今はなーどうかなー
畳んでもらうの、ちょっと恥ずかしい。
なお、息子はブラジャーを見て「ウンコみたい!」と言った。
なぜだ。