ほこり
「どうろの、
ほこりに、
きをつけてください!」
そう高らかに述べたのち、部屋の隅から対角線上にある隅までダッシュする息子。
到着した場所でも同じことを高らかに述べ、またダッシュで戻ってくる。
なんの真似?
道路の埃って運転中一番気を付けないよ。
私は子供が生まれるまで、それはもう掃除魔だった。
学生時代なんて時間があるもんだから、よく掃除していた。
(今の我が家を10年前の私が見たら、「物は少ないけれど床が汚い!」って爪先立ちで歩いてそう)
弟と暮らしていた頃は掃除魔だった時期であり、ひどいことに弟にも共有スペース(リビング、水回り)の清潔を強く命じていた。
休日のある日、朝からクイックルワイパーでホコリやチリを集める私。
リビングのドア付近にせっせと集めて、最後にコロコロで取るぞーというとき。
自室から来た弟、案の定蹴散らす。
これは事前に伝えなかった私の不備。
でも血の気が多い20代前半。
不備なんて認めない。私がルール。
「アンタどこ見てんのよ!」
とガチで青木さやかになりきる。
『知らねえよ!』
だよね。
当時の私の言い分は、物音で掃除してるのわかるだろ、察しなさいというもの。
弟にしてみれば、喉渇いたから水飲みに来ただけで怒られて。
理不尽極まりない話。
本当、映画じゃないジャイアンみたいな姉だ。
日々「何でこんなにホコリが出るんだ!」とも、小言言ってた。
一緒にいるの苦労したべな。
とはいえ、当時の私も悪いと思ったのか。
後日は、事前に伝えた。
「これから廊下ワックスかけたい。トイレ前もやるから、20分は部屋から出られないけれど、いつならいい?」
『いつでもいいよ』
「じゃあ今からやるね」
『あい』
弟、10分後に尿意のためトイレに行った。
乾いてないワックスの上に弟の足跡がついた。
めっちゃ怒った。