すずうくぬつ

自分のための、弟のしじゅうくにちです。その日に思い出した弟との思い出を忘れないように、必死こいて文字化しています。

背這いとハゲ

娘がどんどん歩いている。

先月はハイハイしていたのに、3週間くらい前から突然立ち上がった。

そして2,3歩…と思ったら10歩進み、今やハイハイが珍しくなった。

1歳1ヶ月で歩くのは全然珍しくないけれど、息子は1歳5ヶ月2週間まで、1歳児クラスに上がる直前まで、クラスで最後までハイハイしていたから、すごく早く感じる。

娘の歩みはまだまだヨタヨタで、バランスを崩したときにお尻で「どしん!」と座る。

たまらなく可愛い。

 

弟が立ち始めた時のこと、覚えている。

その頃私は幼稚園児だけれど、2本の足でグラグラしながら両手でバランスを取って頑張っていた弟の姿をよく覚えている。

嬉しかったのか感動したのか、すごく興奮した私は、めちゃくちゃ大きい声で手を叩いて

「わー!わー!立ってるよ立ってる!!」

と騒ぎまくっていた。

当事者である弟は、大騒ぎの私なんかスルーして無言で真顔。

一生懸命立ち続けていた。

 

ハイハイの記憶は、あまりない。

ハイハイではなく、背這いをしていた。

仰向けにひっくり返って、足の力で移動する。

仰向けになっているから、見えるのは天井。

進行方向なんて見えない。

進んでいくとどこかしら頭をぶつけていた。

そして、泣いていた。

私も子供なりに「ぶつけちゃうよ」と忠告したが、通じるわけない。

弟は頭を壁などにぶつけ、そして『うぇ〜ん』。

後頭部がハゲやしないかと思うけれど、そんな記憶はなく、そして成長してからも全くハゲの気配はなかった。

むしろ、(若い頃の)父譲りの逞しい毛質で、私も弟も梅雨時は頭が広がることにぶつくさ文句を言っていた。

とはいえ弟としては、

『ハゲるかどうかは母方の祖父に似るっていう。おじいちゃんの遺伝子が来ているなら、俺は間違いなくハゲる』

と心配していたようで、美容院に行くたびに

『まだハゲは大丈夫ですか?』

と確認していたようだ。

そんな話を実家ですると、父も細くなった髪の毛を撫でながら

「俺も昔は床屋に(丈夫な毛だから大丈夫、と)言われたよ…」

と呟いていた。

ハゲた弟も見たかったな。

 

この背這いは息子にはきちんと伝承されていた。

息子は1歳半過ぎてから、自らのイヤイヤを表現するために背這いしていたから、弟とは少し目的が違うけれど。

息子も後頭部のハゲは大丈夫だった。

どうかハゲるか真っ白ヘアーになるまで、人生楽しんでおくれ。