弟がいなくなってから初めて親に会う前に
年末調整の書類だとか、慌ただしい。
コンビニに行けばハロウィンからクリスマスの飾りになったり、年賀はがきのパンフレットが置いてあったり。
11月だけれどもう街中は12月に向けている気がする。
そんなこんなで、喪中はがきの手配に忙しかった。
そんな大変な作業ではない。
全部フォーマットが決まっているし、宛先住所の確認だけすれば良い。
ただ、はがきの文面を眺めていると、手が進まない。
自分で入力したから分かっているはずなのに、そこに記載されているのは弟の名前。
弟の命日に、年齢。
分かっているはずなのに、信じられなくて、先に進めなかった。
明日、両親が来る。はるばる車で。
その前に完結させねば。
両親に見せたくは、ない。
弟の遺骨でダイヤモンドを作ることにして、それはすでにスイスへ旅立っている。
しかし全く手元にないのも、ということで、遺骨ジュエリーを親が作ってくれた。
それを届けに来て、10日間くらい、我が家でゆっくりする。
正直なところ、どんな顔をして会えば良いのかわからない。
小細工なんてしないで、素直な感情で向き合えば良いのだけれど。
娘としてしっかりしなきゃーという思いでここまで来た。
「親御さんの方が悲しいから」と言われたのもあって、なかなか難しい。
弟がいたら、
弟が役に立たない雑学や記憶力を披露して「そんなところに頭使うなよ」とみんなで笑い。
弟と母のおバカ発言を完膚なきまで叩きのめしたり。
弟とその辺に溢れている力学や化学の現象について話して、両親に気持ち悪がられたり。
弟が子供たちにおもちゃを買ってきたのを「またー?細かいパーツ入ってないよね?」と呆れ顔で文句言ったり。
両親が子供たちの動画を撮って「(弟に)そうしーん!あいつ羨ましがるだろうなー」とニヤニヤしたり。
これから先もそんなのが続く予定だったのに、私は悔しくて仕方がない。
両親は電話口では
「あいつ、後悔していないといいな。満足していたらいいな」
「きっとあっちで、たくさん本を読んで楽しんでいるだろう」
と言っていたけれど。
あんな若くして想定外に命を落として、悔しくないもんか。
人生やり尽くした、わけあるか。
私でさえ、まだまだ知らない知りたいものがある。
私より4つも若いんだぞ、やり残したこと、あって当然じゃないか。
息子が弟と同じようにイチジクにハマっているんだぞ。
娘が弟と同じように部屋のスミでウンコしているんだぞ。
母は「自然に天命だった、と思えてきた」と言っていたが、私は日に日に悔しくて仕方がなくて、おかしくなりそうだ。
そっか、こんな状態だから、両親にどう会えば良いかわからないんだ。
ここ数日の疲れの正体が判明したところで、解決策は見つからないけれど。
難しいや。
親相手にはいつも何も考えないで、火の玉ストレートで話をしてきたツケかな。
どこかに答えは落ちていないものか。