迷子の迷子の
2人暮らしのときのはなし。
始まって少し慣れてきたころだったか。
帰宅したら、弟の自転車が無かった。
そんなのは珍しくないので、なんとも思わず部屋へ。
晩ご飯何にしよう、面倒だなあ
適当にしてテレビでも見てよう
…
…
…
ちょっとの買い物にしては帰ってこない。
はて、友達でもできて遊びに行った?
晩ご飯いらない時は連絡って言ってるじゃん!
と思いながらメール(まだLINEではなかった)。
どうやら、夜の雰囲気を堪能しながら、周辺サイクリングを楽しんでいる模様。
それならいっか〜と気にせずテレビ見たりのんびり。
何時だったかな、弟から着信が。
『今どこにいるか分からなくなった。俺どこにいるんだ』
知らねーよ。
コンビニの店名とかヒントになるものを問うと
『ない、家ばかりで…』
携帯のGPSも料金と電池が気になるから勘弁、とのことで。
まず、電柱の地名を読むように指示。
そしてパソコンを起動し、ブラウザでGoogle MAP起動。
彼の概ねの位置を把握。
そのあと、明るい方に向かってもらい、目印になる建物を探してもらい、
コンビニだったかマンション名だったか。
彼の現在地を特定。
左手にファミマある?
高架くぐる?
セブン見えた?
など電話で確認しながら誘導すること数分。
『あー!この場所なら明るい時サイクリングした!
あとわかる!もう大丈夫!!1人で帰れる!!』
「良かった〜、ところで私シュークリーム食べたい」
『』
彼を信じて電話を切り、待つ。
10分は過ぎてただろうか、
『姉貴ありがとー…』
玄関を開けるなり御礼の言葉を言い、肩をすぼめてリビングに来た。
セブンの袋にシュークリームを入れて。
一口サイズのものがたくさん入っているやつ。
「プライベートブランドのが良かった」
と大変失礼なことを言いながら袋を開け、食べる。
弟にも勧めたら、甘いものが苦手らしく断られた。
姉、即食べきる(素晴らしき20代前半の代謝)。
30代前半の今、カロリーが怖いし胃もたれするので、
もう食べられません。