すずうくぬつ

自分のための、弟のしじゅうくにちです。その日に思い出した弟との思い出を忘れないように、必死こいて文字化しています。

弟の手

洗い物のあと、指先を何となく見てたらすごいガサガサでびっくりした。

たしかにクレンジングするとき、痛いけれども。。

血管も浮き出ている。

対する子供たちの手は小さくてぷにぷにしていて付け根にエクボが出来てて、めちゃくちゃ可愛い。娘はヨダレ臭いけれど。

ツルツルすべすべ。

私の手はいつからこんな不味そうになったんだ。

 

弟の手は、見た感じちょっと乾燥気味だった。

爪も短め。

子供の頃は、きっと子供たちと変わらなかったと思うけれど、よくよく考えたら、手を繋いだことって、あるのだろうか。

唯一ハッキリ覚えているのは、私の結婚式が最後に手を繋いだとき。

中座のエスコートに、予告なしで弟をその場で指名した。

ひたすらコース料理を食べてた弟、恐らく高砂で姉が中座しようとしていることにそこまで意識を向けていなかった。

それが、突然名前を呼ばれ。

鳩が豆鉄砲とは、まさにあんな顔だなぁと言うような、ビックリした顔をしていた。

 

昔だったら恥ずかしがって絶対に前に出て行かなかっただろうけれど、もう大人。

恥ずかしそうに、周りの親戚に笑われながらも、前に出てきてくれた。

で、手を引いてもらって中座。

手を引いてもらいながら、夫の手とも違って、弟とはいえ一人前の男らしく、ゴツゴツした手だな、と思った。

 

少しだけ、歩きながら少し話した。

「ねぇ、私この格好(白無垢)なんだから、もっとゆっくり歩いてよ」

『ああ、悪ィ』

晴れの日でも小言。

 

このときの写真はずっとお気に入りだ。

弟が居なくならなくても、お気に入りだ。

弟の結婚式でも私、一緒に中座しようと思っていたのになー。

でもこんな小言の多い小姑は嫌かな、会えなかった花嫁さん。

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あれ、よく見ると私が一方的に握ってるじゃないか。

弟、めちゃくちゃ遠慮がちじゃないか。

照れ屋さんめ。

 

なお、後日

『姉貴の結婚式で出てきた天ぷらの1つに、めちゃくちゃ不味いのあった』

と言われて私は「ケチつけんな!」と怒った。

その後、“天ぷらの1つ”が消えて

『姉貴の結婚式の料理は不味かった』

に端折られ、私は怒った。